私たち魚沼農耕舎は、5年前から私たちの魚沼産コシヒカリやそばを買って下さるお客様や県外にいらっしゃる地主さんにむけて、作り手の想いを伝えるふれあい通信「まんまにしょ」を刊行しています。この度、022号ができました。
022まんまにしょ【作り手の想いを伝えるふれあい通信】
まんまにしょ No.022
「苗半作」という言葉をご存知ですか?
今年の育苗ハウスは、金子が担当しています。ですので、田植え機に乗ることはありません。その代わり田植え機のオペレーターに、喜ばれる苗づくりを心掛けています。
それは、しっかりと根っこが張った草丈の12センチ程度のずっしりした苗。当然のことながら、他の品種が混ざっているなんてことは、ありません。病気にかかったものも、もちろんありません。
よく冗談で言うのですが、「茶髪のロン毛」にならないよう、気を付けています。「茶髪のロン毛」の茶髪とは栄養失調で、若干、黄色味をおびている苗。ロン毛とは草丈の伸びすぎてしまった苗のことです。
良い苗は、田植え後の生育が非常に良い! 苗がその後の生長の半分以上を決めてしまうとも言われています。つまり良い苗ができれば今年の稲づくりの半分は成功したようなものです。
こういったことから、農業の専門用語「苗半作(なえはんさく)」という言葉が生まれたのでしょう。
そのため、芽が出たばかりのころは、布団代わりのシートをかけて温めてやる。日が出て暑くなるようであれば窓を開け、寒くなるようならしめる。たまに雪が降ろうものなら、育苗ハウスがつぶれないように中からつついて雪を落とす。灯油ストーブを付けるときもある。早朝とお昼に水をやり、生育を促す。ハウスの中では、ついつい甘やかせてしまうため、わざと踏んで鍛える。早めに外気にあて、寒さという世間に負けないようにする。いよいよ田植えが近づくと、母がお弁当を持たせるように肥料をあげる。厳しい環境に負けないように。そして、立派なお米になってくれよと。
そんな風に、私は作りたい。(宮沢賢治の「雨にも負けず」風に書いてみました。) 舎員No.4 金子 芳博